広島高等裁判所 昭和30年(う)106号 判決
所論は、原判示第三において所持していた刀は、同第一において窃取した刀であるから、右の窃盗罪と不法所持罪とは刑法第五四条第一項前段の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であり一罪として処断すべきものであるにかゝわらず、原判決がこれを併合罪として処断したのは判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤があるというのであるが、しかし刀を窃取する行為と窃取した刀を不法に所持する行為とは別個の行為であり別個の犯罪と見るべきものであつて一個の行為と見ることはできないから、原判決がこれを併合罪として処断したのは相当であつて所論のような法令適用の誤はない。論旨は理由がない。
(裁判長裁判官 尾坂貞治 裁判官 松本冬樹 裁判官 池田章)